昨年家庭教師で担当した物語文苦手男子の偏差値52が→70に 効果的だったこととは?
物語文が苦手。心情を丁寧に拾っていくことができていなかった。親御さんからも苦手苦手言われてかわいそうでした。「国語さえなんとかなれば。算数理科社会はできるのに。」って。苦手じゃなくてまだ正しく勉強したことがなくて身についていないだけなのに、酷語とか言わないであげてください。
国語の家庭教師をしていますが、どのような指導か垣間見ていただけるのでは?という記事、ご興味があればこちらをご覧ください👇
1・マーキングで「マルがこみ」することに慣れてもらいました。
👉中学受験国語 マーキングの仕方を統一して演習を重ねるのがコツ
心情語としぐさをマーキングすることから始めました。線を引くより、長丸で囲むほうが目立つ。ラインマーカーや色ペンを使える学校を受験される方はマーカーの色使いに慣れておいたほうがいいかもしれません。心情語はピンク、接続詞や助動詞はイエローとかね。マイルールを決める。
2・心情を表す言葉を一覧にしてインプットしてもらいました。
3・心情の線分図のようなものを書いてもらうことにしました。
要約を書けるほどの作文力が無いお子さんはここから始めるといいです。こんな感じで心情の線分図のようなものをメモする。
( )→( )→ 変化 → ( )
( )→( )→ 覚醒 → ( )
( )→( )→ 成長 → ( )
( )→( )→ 葛藤 → ( )
( )→( )→ 虚無 → ( )
( )→( )→ 混乱 → ( )
4・心情変化には、転換、覚醒、成長、ひらめき、など、何か、"CHANGE!" というポイントがあることに重点を置いてもらうようにしました。
難関校になると、丁寧に心情語を拾わないと解けない問題を出されるのですが、「何も言えない」「うまく言い表せない」「放心」「虚無」「無」「凪」「フラットな気持ち」といった、頭の中は真っ白、なにかをぼんやりと感じているのかいないのか、ただ主人公の目に映る景色のみが描かれているところから読み取らないといけないというような問題が出たりしますね。喜怒哀楽だけじゃない。無、虚無、放心、混乱、っていうのもあるんだよ。とお話しました。
途方に暮れている。
ぼう然としている。
混乱している。
やるせない気持ち。
何も考えられない状態。
万策尽きてうなだれている。
このあたりの言葉をノートに書き留めて、使えるようにしていくといいよね。
今日このブログを読んでくださったあなた、ぜひお子さんにこちらお話して差し上げてください。子どもは、虚無や混乱を説明するのが苦手。虚無虚無プリンだとかワイ氏タヒ亡とかマジ白目とかポカーン( ゚д゚)とかわけわかめとか詰みとか詰んだとかLINEしてくるのに、なんで国語の記述でかしこまると全く何も書けないのですかね?
👆これブックマークしておくといいよ!「呆然」と入れてみると、類義語として「呆然 茫然 自失 唖然 あ然 肝をつぶす 開いた口がふさがらない 言葉がでない 言葉を失った 呆けたように 放心状態 ポカン あんぐり ボンヤリ」と出てくるよ。言葉が出ない、とか、放心状態、とか、参考になる言葉が出てくるよね。国語の記述問題でうまく説明できなかったときはここを使ってみて!
Oinの過去問の解説で、この、「混乱」「うまく言い表せない気持ち」、マイナスからフラットへそしてポジティブに、という変化の中で、フラットの部分が設問になっているよということを、これまた上手に解説されていらっしゃる先生がおられます。
Oinの平成26年の問題を扱っておられますから、Oin志望の方でまだ平成26年の問題は解いていない、ネタバレこまる、という方はお読みになられないほうがいいです。
5・本当の気持ちを隠していないか?という前提で読む
口で強がりを言っているだけで、本心は真逆ということがあるから、本当の気持ちを隠していないか?と疑って読んで欲しいということを伝えました。言葉通りそのまましか受け取れていなかった。そりゃ物語文ぼろぼろになりますね。丁寧にしぐさや風景を読み取る練習をしました。(主人公が「大丈夫」って口では言っていても大丈夫じゃなさそうなのに、「え、大丈夫って言ったじゃん?」っていうタイプの子いるんですよ...)
6・「誰が、何を、どうしたから、私は、こう感じた。」という構文で要約を書いてもらうようにした。物語文の場合、「主人公が"誰かによる働き"により、こう変わった。」という点が設問になります。主語、目的語、述語、主語、心情語。
👉主語目的語述語が揃ってないと点数くれないサピックスオープン
7・気持ちが徐々に変わっていく様子や、二つの気持ちで揺れている様子を述べる構文を覚えてもらった。
我が家ではこれらを「テストの心得」と呼び、構文集ノートを作っていました。
初めは○○だったが、××が××を××することにより、次第に◎◎となった。
今までは◯◯と気づいていなかったが、××により◯◯と思うようになった。
○○と思いつつも、◎◎という気持ち。
○○ではありながら、実は◎◎という気持ち。
○○ではありながら、少し◎◎という気持ち。
○○だが、一方では◎◎という気持ち。
○○だが、素直に◎◎と言えない気持ち。
○○だが、強がって正直に◎◎と言えない気持ち。
...などなど、過去に解いた問題集、模試、過去問の記述から、気持ちの変化の説明の仕方、二つの気持ちの書き方のテンプレ集をどんどん作り溜めてもらいました。これがすごくよかった。
(この生徒さん、今ではこれ英検の面接にかなり使える!と、英語版に翻訳して使っているそうですよ。英語のスピーキングにも、キーフレーズのようなものがありますよね。)
こんな感じのテンプレ集、ドリームナビに載っていた時期があったので、スクラップにしてノートに貼ってました。「きほんのき」だったかな。今もある?
書けないんだもん、言葉を知らないんだもん、気持ちの説明の表現テンプレをひたすら集めて、音読や模写してみて、体になじませていくしかない。(言語学的には、自らの"言語習得装置"LADにインプットしていき、アウトプットを待つしかない。)
子どもたちは、大人が思う以上に、つなぐ言葉を知らない。一方では、とか、でありながら、とか、初めは~ 次第に~とか。「子どもの成長が頼もしくも一方ではさびしい気持ち。」とか「褒められて嬉しいが、本音では素直に喜べない気持ち。」「注目されて嬉しいが、一方では気恥ずかしい気持ち。」とかね。記述問題になると書けないのは、つなぐ言葉を知らないから。白紙はもったいない、なんでもいいから書け、って言われても書けないですよね。こういうフレーズを、模写も兼ねて構文ノートに書き連ねていく。(読書感想文とか作文書くときにも、構文が使えますよ。)
これらつなぎ言葉のテンプレ集と記述練習は、NN麻布のプリントで細かくまとまっているのを見かけました。
8 親御さんにも声のかけ方を工夫していただけるようお願いしました。
家庭でどのような声掛けをしていけば国語に強い子に育つか、こちらの本、非常に参考になると思います。私も子が小さいときから実践していたなと思うことがたくさん。私は、大学で言語学専攻だったこともあり、子どもの言語習得には興味があり、自分に子が生まれたら実践したいと思ってきました。2歳児や3歳児の頃、できるだけ長いセンテンスで、子供向けの言葉を選ばず、大人に対するときと同様に話しかけることを試したりもしていました。一生懸命、話を聞こうと真剣な顔でこちらを見ている幼い娘のまなざしは、今でも思い出します。わからないことをわかろうとしている姿は本当に尊い。
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参考にしていただけると幸甚です。国語は一度得意になると、ぜんぜんコケないから。我が子も国語は超安定していて、合不合最低でも偏差値67、最高で71。週テストで国語100点が複数回。他の教科でコケても国語がいつもカバーしてくれました。入試では算数と同配点のところが多いですから、国語が強いと合格に近づきますよ。
マンガ読むだけで酷語を脱することができる!?
現代文の勉強をはじめからていねいに
こちら、マンガなのですが、説得力がすごい。非常に役立ちました。ロジカルシンキングを身につけられる。論説文だけではなく、「小説の勉強法」中学受験でいう「物語文」の読み方についても触れられています。記述のコツ、選択問題のコツ、これらのテクニック、なにげに英語の長文読解のときにも使えるんですよね。目次はこちら👇
- 第1講 なぜ現代文を勉強するのか
- 第2講 現代文の“三つの掟”
- 第3講 評論問題の勉強法
- 第4講 小説問題の勉強法
- 第5講 記述問題・マーク問題の解き方
- 第6講 具体的な勉強法
- 第7講 現代文は人生の土台だ
我が家の娘と同級生のお嬢さん、2021組で四谷大塚Sコース女子のパパ、Take it Easyさん、現役受験生の頃フォローさせていただき参考にしていました。Take it Easyさんも、このマンガを娘さんに読ませていらっしゃる👇
我家も夏休みに「現代文の勉強法をはじめからていねいに」(漫画)を読ませました。出口先生の方法論は普遍的ですよね。我家も読ませようかな~。とにかく、点数(偏差値)の差が激しすぎるので。😂
— Take it Easy (@stressfree2021) 2020年1月27日
大学受験をする高校生向けに書かれたものだけれど、小学校高学年で読むの、ぜんぜんあり。すごくわかりやすい。読解のコツがマンガでまとめられていて、国語は感覚的に解く科目じゃないんだな、って、国語が苦手な子に理解しやすいと思います。Amazonの商品ページに37ページもの導入部分の「試し読み」サンプル画像があがっていますから、ぜひ見てみてください。絵もわりと好み。
書籍でおすすめなのはこちら
国語が苦手で初歩的なことから始めたいお子さんに
出口式はじめての論理国語小6レベル