Smile 中学受験

塾なし中学受験ブログ

👉ちょっと海外に行けば大人になってからでもカタコトの英語が話せるようになるから幼児期から勉強させなくていい?

 

うーん… こういう方は言語学を勉強したことはないのでしょうかね...

 

私は英文科卒で、3年4年のゼミは言語学。チョムスキーを学びました。卒論は「幼児の言語習得」でした。英語でA4に70枚以上書くことが卒論の条件で、なかなかしんどかったですが、子育てに役立ったので今さらながらいいテーマを選んだなと思います。

 

 

チョムスキー言語学の言語獲得のモデルは、

 

個別言語のデータ

↓

人間の精神上にあるとされる

Language acquisition device (=LAD)

言語獲得装置というモジュールを経て

↓

個別言語の文法

 

とされているので、ちょっと海外に行って道を尋ねたりショッピングしたりで、定型のフレーズを丸暗記してオウムのように話せるようになったことは、"Language acquisition" とは言えないですよね。LADを経て構築された、自発的に内から湧いて出てきている個別言語の文法ではないから。言語習得こそ丸暗記でなんとかなるものの対極だと思います。

 

英語教育を語るとき、言語データの暗記イコール英語学習、と短絡的に考えている人は、大人になってからでもなんとかなるでしょ、と言いがちな気がします。

 

受験勉強の国語の学習も同じだと思います。根気強く働きかけて、子どもの内にあるLAD(言語獲得装置)を経て、アウトプットされてくるのを待つしかない。子どもの様子をよく観察しながら、ひたすら個別言語のデータを与え、子ども自身が獲得した個別言語の文法が出てくるものを待つしかない。中学受験の国語はある程度子どもの精神面の成長を待たないといけないとか言うけれど、ただ待つのではなく適切なインプットをしてやったうえで待つ。種を撒かないと目は出ないし花も咲かないし実も結ばない。言語学者のフンボルトは、「言語を本当の意味で教えるということは出来ない。出来ることは、言語が心の内で自発的に発展できるような条件を与えることだけである。」と言っています。

 

指導者としては、子どもの発した言葉をよく聞いて、書いた文章をよく見て、弱いと思われる語彙や文法事項のインプットを増やして、働きかけをしてやることが大事。解いた跡を見てもらい適切なフィードバックをもらいにくい集団塾では限界があるよな、って思います。

 

ここをわかっていない国語の先生、英語の先生だと、生徒が伸び悩む気がしますよ... 語彙だけ、読み方だけを詰め込んでも、記述問題でアウトプットされてはこないですからね...  現代文の語彙集を買い与えてはいコレやってね、というのではなく、親御さんができるだけ日常生活でそれらの語句を使うようにするとか、文法力や構文力であれば、日常会話から気を付けてやるとか、正しい文法構造の文章の模写をさせて、系統立てて記述力を伸ばすための工夫をしてやるとか。

 

 

私は幼児教育で早期から英語に触れさせることには賛成派です。チョムスキーの言うThe Critical Period が存在するわけですし、臨界期より前に言葉のシャワーを浴びているとなると個別言語のデータの蓄積量が違いますから。なので、中学受験で英語学習を中断させたくないから小学校受験、もしくは高校受験にしたい、という親御さんの気持ちも、とてもよくわかります。なんなら中学受験の試験科目に英語が追加されたほうがいいとさえ思っています。